Suit size and Measuring – スーツの体型号数と採寸

スーツのサイズは靴ほどシビアではないものの、やはり「合うサイズ」というものには個人差があるり、同じヌード寸法でも 人によって仕立てるサイズは違ってくる。
オーダースーツを仕立てる際、仮縫いがあったり ゲージ服(見本服)を着用するのは、単にサイズを決めるためだけに使用するのではなく、客観的に数値化されない「客の感覚」という相対的品質を可視化するためのものだったりする。

話題になった採寸用の ZOZOスーツ は便利なのだが、着心地を左右するのは「ゆとりサイズ」のため、採寸が出来ても自分に合った「ゆとりサイズ」が分からないと思ったようなスーツを仕立てることは出来ないので、素人がイメージ通りのサイズで注文するのは難しい。

スーツのサイズ

スーツサイズには体型と号数があり、体型はJ体~E体で横幅、号数は2号~7号で身長を表している。

レディースのイージーオーダーの採寸で、ヌード寸法から適切なサイズの見本服を着せ付けすると 「 私はいつも◯◯号ですけどっ! 」と 不服げに睨まれたりすることがあるのだが、これは体型を隠して号数だけで販売する婦人服店の手法が原因。
サイズに関しては男性も女性も関係なく 基本は「体型」と「号数」になる。

ドロップ寸と体型

ドロップ寸はドロップ差や差寸などとも言われる 体型を算出する際の寸法のことで ヌード寸法(身体の実寸)の 胸囲から胴囲を引いた値

体型は胸囲と胴囲のドロップ寸(寸法差)で決められており、ドロップ寸 12cm が「A体」で 体型の標準になる。

胸囲94cmのA体の胴囲は  94 - 12 で 82 cm

taikei

体型は J 体 から E体 まであり A体を中心にドロップ寸が2cmピッチで体型が変化していく。

既製服では一般的に Y体を「痩身体」 A体を「標準体」 B体を「肥満体」としているが、あくまで体型はドロップ寸で決まるため、細身の人でも胸囲と胴囲のドロップ寸が小さければA体やAB体になり、見た目の体格とは異なってくる。

日本産業規格(JIS) 成人男子衣料サイズ

【体型区分】

体型 胸囲 – 胴囲 のドロップ寸(寸法差)
J 体 20cm
JY 体 18cm
Y 体 16cm
YA 体 14cm
A 体 12cm
AB 体 10cm
B 体 8cm
BB 体 6cm
BE 体 4cm
E 体 ドロップ寸 なし

既製服店で見かける「 drop8 」や「 drop6 」という表記は JIS規格 の ドロップ寸を2で割った数値になっているが、「 drop8 」がYA 体「 drop6 」がAB 体になっているなど独自の体型になっている。

【号数と身長】

号数 身長
2号 155cm
3号 160cm
4号 165cm
5号 170cm
6号 175cm
7号 180cm
8号 185cm
9号 190cm

既製服とイージーオーダースーツのサイズ

既製服は体型と号数でサイズ展開をしており、スタイルによって異なるが、体型が異なっても同じ胸囲の場合は号数を変えることで ほぼ同じような「ゆとり量」のサイズになる。

サイズ ヌード寸法 ジャケットサイズ
体型 号数 身長 胸囲 胴囲 胸囲 胴囲 肩幅 袖丈 着丈
YA 体 6号 175 92 78 104 91 44.3 61.5 72
A 体 5号 170 92 80 104 92 44.3 60.0 70
AB 体 3号 160 92 82 104 94 44.9 57.0 66

AOYAMA URBAN SETTER サイズスペックより

洋服の青山で販売している URBAN SETTER では 6号YA 体と5号A 体では、袖丈と着丈 以外のサイズが ほぼ同じで、他のスタイルや他社商品についても 多少の違いはあるものの 同様のサイズ展開になっている。

イージーオーダースーツの場合も スタイルごとに体型が登録されているが、J体~E体まですべての体型をサポートしているわけではなく、スタイルによって登録されている体型は異なっている。

一般的にインターナショナルやレギュラーと呼ばれるスタイルはサポートしている体型が多く、クラシコやタイトスタイルなどは体型に制限があることが多い。

イージーオーダースーツは一定のピッチでサイズが登録してあり、胸囲・胴囲・着丈・袖丈は 個別に指定が可能で、胸囲と胴囲のドロップ寸で体型が決まる。
また、B体以上の体型には「腹グセ」などの補正がかかっていることが多く、着丈によってウエストポイントや釦位置、ポケット位置などがグレーディングされ バランスが取れる。

スミス・エバンス効果

スミス・エバンス効果とは 国際標準化機構 (ISO)が 靴のサイズを標準化するため、サンプルとしてスミス夫人とエバンス夫人に同じ木型で作成した異なるデザインの靴をそれぞれ履いてもらったところ、1つ目のデザインはスミス夫人が 23.5 cm、エバンス夫人は 24.0 cm の靴を選び、2つ目のデザインは  スミス夫人が 24.0 cm、エバンス夫人は 23.5 cm を選んだことから名付けられた現象。

結局、現在も靴のサイズは客観的に数値化されない「相対的品質」として規格の標準化に至っていない。

採寸とサイズ バランス

オーダースーツは「何でもできる」と勘違いしている人が多いのだが、イージーオーダーの場合は使用するパターンのほか 体型やデザイン、サイズバランスなど多くの制限があり、希望通りのサイズやデザインで作れるわけではない。

そのためフィッターは始めにお客の ヌード寸法 から 標準サイズ を算出し、 客の希望を聞きつつ 常に標準サイズを意識してフィッティングを行っている。
ヌード寸法から算出するサイズは採寸時の基準値で、スーツは着用した際にシワの入っていない状態が理想形になるが、ファッションやスタイルは変化するため 標準サイズが最適解ではない。

理解するという意味で使用される「分かる」の語源は 「刀で切った状態」で、1つの事象を理解するためには比較対象が必要だということを意味しているとおり、フィッターは採寸時にヌード寸法から算出した標準サイズをベースに、お客の感覚という「相対的品質」を理解してサイズを決定していく。

上衣の胸廻り(上胴)

上衣の胸廻り(上胴)サイズは 肩巾、アームホール、蹴回しと連動しており、イージーオーダー やパターンオーダー( EO / PO )の場合は 上衣のパターンやスタイルによって ゆとり量が変わってくる。

同じ胸廻りサイズでも スタンダードパターンの ゆとり量は15cm前後、タイトパターンは12cm前後など 実際の仕上がり寸法が違ってくる。
単純に ゆとり量15cm と11cm のパターンでは 仕上がり寸法が4cm 異なるので、タイトパターンで胸廻り96cm の上衣の実寸法をスタンダードパターンに換算すると 胸廻り92cmになる。

胸廻りサイズは 基本的に ヌード寸法のバストサイズを基準に決定するが、上肢の筋肉である三角筋が発達していると、ヌード寸法のバストサイズで合わせると肩先があたり、アームホールも脇ぐりが食い込んでしまうケースが多く、スポーツなどで臀筋が発達している場合も、バストサイズで合わせると 蹴回しの ゆとりが不足することがある。

そのため上衣の胸廻りは、オーバーバスト(腕を下ろし状態で腕を含めたバストサイズ)・バスト・ヒップサイズのバランス確認が重要。

バストサイズの目安1:オーバーバスト - 18cm
バストサイズの目安2:
ヒップサイズ - 2cm

標準体型の場合 オーバーバスト(OB)とバストの差は18cmで、20cmを超えると上衣の胸廻りサイズを上げたほうがフィットする可能性が高い。
同様にヒップからバストサイズを引いた数値が4cmを超える場合も、上衣の胸廻りサイズを上げたほうがバランスが取れる場合が多い。

肩巾

胸廻りサイズが決まると自ずから肩巾も決まってくる。
肩巾は肩線と袖付けの接点から上衿と背縫線の接点を通り反対側の接点までの長さで、1cm前後の変更は可能だが 1.5cm以上変更する際は胸廻りサイズの変更が必要になる。

胸廻90cmまでの肩巾の目安:胸廻 /2ー 2cm 
胸廻96cmまでの肩巾の目安:胸廻 /2ー 3cm
胸廻104cmまでの肩巾の目安:胸廻 /2ー 4cm 

袖丈

袖丈は肩巾に連動するので ゲージ服を使用する場合は 指定した肩巾に近いゲージ服で測る。

一般的にスーツの袖丈は 手のくるぶしが目安で、ワイシャツの袖が5mm 程度見えるのが理想なのだが、その場合はワイシャツもオーダーするか アームバンド などで袖丈を調整する必要がある。

既製のシャツを着用する場合 大抵は袖丈が長いため、スーツの袖丈をくるぶし付近にすると シャツのカフ部分が飛び出て バランスが悪くなるので注意が必要。

女性のスーツは袖丈を手の甲の半分くらいにするのが一般的なため 混同している人も多いが、男性のスーツの袖丈を手の甲の半分まで伸ばすと非常に野暮ったくなる。

袖丈の目安1:(裄丈 ー(肩巾 / 2))+3cm
袖丈の目安2:着丈-14cm前後

上衣の胴廻り(中胴)

上衣の胴廻は よく「拳1つ分」が目安と言われるが、標準体(A体)のゆとり量は16cm が目安で、痩身体の ゆとり量は多めに18cm、肥満体は少なめに12cm程度と、体型によってゆとり量を調整するとバランスが良くなる。

ゆとりが10cmを切ってくると フロント釦を留めたときに引っ張られて 横ジワの発生 や 蹴回しがヒップに引っかかるので注意が必要。

胸廻りサイズが決まっているため、胴回りの絞りにはパターンがサポートしている体型の制限があり、パターンがY体からB体までの体型に対応している場合は、胸廻サイズに対してドロップ差16cm~8cmまで範囲内で指定できる。

上衣丈

上衣丈の基本は「長方形」。
タイトスーツが流行るまでは 総丈(第7頚椎から床まで)の二分の一に2cmプラスくらいが標準だったが、現在は総丈の半分が標準の目安。

上衣丈の標準:総丈 / 2

ただし、女性のスーツや昔の短ランのように上衣丈を短くすると、上衣が正方形に近くなり、パンツとのバランスが悪くなるので注意が必要。

ウエスト・ヒップ

既製のパンツはウエストサイズで選ぶが、オーダーの場合はヒップサイズがポイント。
パンツの体型はヒップとウエストのドロップ寸で算出し、使用するパターンがサポートしている範囲内でヒップとウエストを指定する。

パンツのフィッティングで多いのが、ヒップのゆとり量に対する誤解で、特にパンツを細くしたい人は、ヒップのゆとり量を気にする傾向がある。
一般的なタイトパンツの多くが伸縮性のあるストレッチ素材を使用しているのに対し、ストレッチ性のないスーツ地で ゆとり量を削ってしまうと、座ったときなどに生地へのテンションが強くなり、生地がしっかりしていると縫い目がパンクし、織りがあまい生地だと生地が裂けてしまう可能性が高くなる。

ヒップ周りのゆとり量はデザインによって大きく異なり、最もゆとりが少ないのがノータック、ゆとりが多いのは2タックやハコタックになる。

股上

カジュアルでローライズになれていると、同じ感覚でスラックスの股上も浅めを希望する人が多いが、ローライズパンツは専用のパターンがあり、通常のスラックスのパターンで股上を浅くしても、ローライズパンツのようにはならず、ただ股上が浅いだけの穿き心地が悪いパンツになる。

一般的なスラックスのパターンでは、股上は25cm~27cmが標準の目安。

裾巾

パンツ全体のシルエットを決めるものだが、無闇に細くしても使用するパターンやヒップサイズなどによって、バランスが悪くなるので注意が必要。

一般的にヒップサイズと裾巾を指定すると、ワタリ巾やヒザ巾はパターンのデータから適正なサイズ自動的に算出されるが、型紙の知識がないままヒザ巾などを感覚で指定すると、パンツのラインが崩れてしまう可能性がある。

わたり巾の標準サイズ:尻廻  / 3+0.5cm~2.0cm

パンツ丈

パンツの総丈は、帯先からパンツの脇線に沿ってまっすぐ踵までの長さで、パンツ総丈から股上を引いたものが股下のサイズになる。
標準は踵から1 ㎝上げた長さ、長めで踵までが一般的ではあるものの、丈の長さは好みが分かれるところでもある。

新人フィッターに多いのがパンツ総丈を測る際に、裾の長さを確認するためお客に声をかけ、客は裾を確認しようと前かがみになり、そのまま寸法を決めてしまうという失敗。
ウエスト位置を少し直すだけでパンツの丈は軽く1~2cm程度変わり、前かがみになった状態で測ると、ルパン三世のようなパンツが仕上がってくる。

左右の長さを5mm変えてほしいという人もいるのだが、そもそもパンツを穿いた際にウエストが寸分違わず水平になっているわけもなく、更に生地は湿気や乾燥により伸縮するため、5mmという差はほとんど意味がなく、JIS規格でも誤差の範囲内になっていたりする。

スーツのシワ

標準体から離れた、いわゆる身体にフィットしていないサイズでスーツを仕立てると、基本的には大きい部分は 縦ジワ、小さい部分には横ジワが生じるが、サイズだけでなく「身体のクセ」によってもシワが発生し、似たような箇所に出るシワでも 原因が異なっていることもあるので、シワやクセの見極めには それなりの経験や知識が必要だったりする。

身体のクセというのは「怒り肩」や「撫で肩」「猫背」、上体が反っている「反身」、最近はスマホ首とも呼ばれる「ストレートネック」などで、フルオーダーは仮縫いの際に症状を緩和させ、イージーオーダーの場合は予め登録されている「体型補正」を指定することもできる。
ただ、体型補正はスーツの型紙と補正の動きを理解していないと 的外れな補正を入れて 着心地やスタイルを悪化させてしまう可能性もあり、EOのチェーン店などでは体型補正を禁止しているところもある。

胸回り / 肩巾 サイズが合っていない症状の例

胴廻りサイズが合っていない症状の例

身体のクセによる症状の例

 

Suits
Introduction to
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