インバウンドの功罪

観光立国を目指している日本への訪日外国人旅行者は2018年に3000万人の大台を突破し、消費額も4.5兆円に達した。

訪日外国人旅行者数・出国日本人数 ( 観光庁 )

2018年(平成30年)の訪日外国人旅行消費額 ( 観光庁 ) 

2015年に話題となった中国人による「爆買い」あたりから、日本の観光地は海外を向いて商売をするようになった。
免税手続きが簡素化されたことで免税店が急激に増加し、銀聯カードの導入も促進され、化粧品や薬品、家電、衣類などの売上が急伸。

カジュアルでは韓国や東南アジア諸国でキャロットカンパニーのバックパック「アネロ」がブームになり、それが逆輸入する形で日本でも流行。
カバンを扱う免税店ではアネロが飛ぶように売れ、1人で20万円を超えるような転売目的と思われる海外の購入者も多かった。

大阪ミナミにある黒門市場は大阪の台所と呼ばれる有名な生鮮市場だが、近年は客足が激減していたところに、折からのインバウンド需要で息を吹き返し、現在は普通に歩くのが難しいほど観光客で溢れかえっている。
この傾向は黒門市場だけでなく、千日前の道具屋筋、戎橋筋商店街、道頓堀も同じで、売上を上げるため外国人観光客の方を向いて商売をするようになり、外国人観光客の増加に反比例して日本人客が激減していった。

店に入っても観光客ばかりで、聞こえてくるのは外国語。
外国人観光客相手に商売をしている店舗と、していない店舗で明暗が別れ、様々な店舗がドラッグストアへと変わっていき、商店街としての魅力が失われ、更に日本人の客足が遠のいていくという負のスパイラルに陥っている。

もともと売上が厳しいという現実があり、インバウンド需要で盛り返したのは事実だが、インバウンドでの売上は諸刃の剣。
インバウンド需要は国内外の政治や経済など状況を左右する要素が多く、中国がパラオや韓国に対して行ったように、政府が国民の観光を政治に利用するため、日中関係次第では旅行者が激減する可能性が潜んでいる。

インバウンド消費

観光庁の訪日外国人消費動向調査 では、2018年の消費総額は中国が1.5兆円と3割のシェアがあり、他国を圧倒している。

2019年度は韓国からの訪日客が大幅に減少しているものの、1人あたりの消費額は8万円弱と低く、一人あたりの消費額が22万円の中国の訪日客をはじめ全体的に増加しているので影響は限定的。

ただ、この偏った状況でインバウンド需要、特に中国客をメインにして売上を作っていると、仮に中国以外の訪日客が増加しても、中国からの観光客が減少すると飲食も物販も大打撃を被ることになる。

観光地にある多くの飲食や物販が、中国人観光客に依存しはじめている現状は、非常に危険な状態だったりする。

Topics
Introduction to
タイトルとURLをコピーしました